2本継ぎ手銛製作 |
このページでは、梅田式2本継ぎ手銛の製作工程をご紹介致します。 初心者でも簡単に造れるのは別ページの、3本継ぎ手銛です。注意点を考慮して製作して下さい。 手銛用ストレートパイプは、私が設計し凧のサイト、ウインドラブさんのご協力で委託販売しております。 金具は、信頼性の高いものを当店で販売しております。安心してご注文下さいませ。 |
<2本継ぎ各部の名称と位置> |
各部分の名称など覚えておくと、当店へご注文の際にも大変便利です。 |
<梅田式2本継ぎ手銛製作> |
[部品の確認から] <主な材料> ここでの手銛製作は、上級者向き2本継ぎの約4m物です。 @中古ゴルシャフト、長さ1100mm前後2本、または、カーボンのスキーストック。(グリップ部は16mm、内径13mmの物が好ましい) A手銛用ストレートパイプ。 G160-18/1000mm/2本。または、C160-15/1000mm/2本。 (C、カーボンパイプは、硬い手銛になります) Bインナー補強材(フェルール) GIJ13-15/200mm/2本。 C前後金具+ジョイント金具の3点。 Dグラスソリッド・接着剤・樹脂・カーボン繊維・溶剤のアセトン。 手銛造りに欠かせないのが、材料の収まり具合です。 各材料の収まり具合を擦り合わせしながら確認しましょう。 |
|||
[グラスソリッドの加工] 手銛フロントに用いるゴルフクラブの補強の為に、グラスソリッドを磨り合わせて差し込む。 このソリッドは釣竿用でも良いが、安価な物として園芸用の物を応用できます。 ゴルフシャフトの内径に合わせて、長いままで磨り合わせてから差し込むと楽です。 余裕を持って差し込んで、長い部分は切り落としましょう。 ソリッドは前から入れると楽ですが、前後どちらから入れるかはご自身で判断してください。 <ワンポイントアドバイス> 先端が肉厚な物には必要有りません。 |
|||
[ソリッドの確認] 削り出したソリッドをゴルフシャフトにはめ、互換性を確認する。 このソリッドは手銛の強度UPには欠かせません。 以前は強度を考えて、ステンレスを入れたり、全体のソリッド化も研究しましたが、海中で重くなり、手返しに悪影響で止めました。 尚、シャフトが肉厚な場合は丈夫ですし、ソリッドが入りませんので不要です。 先端から入れる場合は、ストレートで利用しエポキシを流し込んでから挿入しましょう。 |
|||
[先端金具との確認] 長いままで利用した場合、ソリッドは10cm程度で切断し、接着後にはみ出した部分の先端を切り落とします。 後ろの太い方から挿入する場合、エポキシを塗ると入り難いので、細く長い棒状の物を利用して押し込みましょう。 市販金具の縦穴は、8,6mmφ〜10,5mmφ。 穴の奥行き40mmで、先端メスネジはM6・横穴2,5mmです。 |
|||
[先端と尻手金具の納まり] ゴルフシャフト用の先端金具、後端金具双方をはめてみる。 ペーパーなどを使用して擦り合わせて納めましょう。 肉が薄い物には、ソリッドを入れる事をお勧めします。 尻手金具の長さは50mm、縦穴の奥行き40mm、横穴は3mmです。両サイドをテーパーカットに仕上げ、水の抵抗を極力軽減しつつ、身切れによる跳ね返りの危険性をも考慮した設計です。 |
|||
[ジョイント金具・ストレートパイプ用16mmφ] ジョイント金具・外径18mm・内径16mmφ/M12ネジ採用。 まずは、パイプにはめて確認いたしましょう。 パイプとのガタツキは禁物で、目で確認しながら真っ直ぐになっている事を確認後、接着してください。 私はジョイント部分の補強に、インナー材を半分に切って差し込んでおります。 ■ストレートパイプのご説明。 G表示は、(グラス)パイプです。 C表示は、(カーボン)パイプです。 Gは、空洞率が高い為、軽くてシナリを要します。 Cは、パイプが細くて硬く、曲がり難い仕上がりにます。 お好みのパイプをウィンドラブにて購入しましょう。 |
|||
[継ぎ手とインナーの接続確認] ここでは、外径13mmのインナーパイプ材を、ゴルフシャフトとストレートパイプに接続させる為の磨り合わせ具合を確認をいたします。 私が設計した20cmのインナー材を、ゴルフシャフト&ストレートパイプそれぞれに、10cm挿入す為、ゴルフシャフト側を切って、納まり具合を確認しましょう。 ※インナーパイプの両端は面取りしてから差込み、接着しましょう。また、インナー材は、ゴルフシャフトでも造れます。 |
|||
[インナーの接着] 接続の具合を確認したら、即効2液性練りタイプのエポキシ樹脂で接着です。 ゴルフシャフトの内径平均は13mm前後です。 もしもウィンドラブの、13mmインナー(フェルール)が入らない場合は、13mmインナーの中に、凧用のインナー、GIJ10/7x10x155mmを差し込み、接着重ねしたインナーを自作し、それを削れば細身のゴルフシャフトでも利用できます。 あるいは、先にも説明しましたが、手頃なゴルフシャフトを切断しても簡単にできます。 |
|||
[乾燥] 接着して、乾燥するまでは立て掛けたりして、芯ブレしないように気をつけましょう。 手銛造りでの最大の注意点は、海水の流入を防ぐ事です。 流入は手銛の水中バランスを狂わせるだけでなく、金具を内側から腐蝕させます。 特に金具類については、安価な代用品を使用せず、当店の物をお買い求め願います 尚、尻手金具をお手持ちのストレートパイプ専用金具に造れば、先端はテーパー、尻手側はストレートの2本継ぎや、3本継ぎ手銛も出来ます。 これは二又銛先を使用したり、超強力なゴムの力で、たわまない手銛として有効です。 |
|||
[継ぎ手の接続] この画像では各部位を接着し、乾燥した事を確認したのち、外側からの補強をする為の下処理を行います。 カーボン素材などを用いる為にヤスリやペーパーで表面を削ります。 余分な所を削らない為にマスキングテープを利用すると仕上がりが綺麗です。 次に、カーボンホースやアラミドホース、又はテープ繊維を使った補強に移りますが、繊維はインナー材より長め、もしくは短めに接着する事が、FRP工法の基本です。 |
|||
[外側の補強対策] クロス材の両端は、「ほつれる」ので予め余裕を持って、インナー材と同位置にならないよう、長め、もしくは短めに切って接着しましょう。 パイプの上から慎重にカーボンホースを差し、被せます。 シワは片側をテーピングしてから引っ張れば綺麗に伸びて密着致します。 伸ばしたら片側もマスキングテープでしっかり止めて、テープ部分を残し、樹脂を重ね塗りしましょう。 下の画像は、外径13mmのカーボンストックをGパイプに20cmほど差し込んで継いだ物で、これは簡単です。 この画像では、クロス材もピンと張れています。 全体に被せる長さのでも、同じ工程で作業を進めましょう。 ◎繊維素材が入手し難い場合は、細糸を丁寧に巻き付け、FRP樹脂を何層も塗り重ね、固める方法も有効です。 |
|||
[樹脂塗り・クロス材の切断] 使用する樹脂は、ビニルエステル樹脂が最適です。 特にカーボン繊維に相性の良い樹脂です。 その他、ポリエステル樹脂はグラスファイバー繊維に相性の良い樹脂です。 マスキングテープの間際まで樹脂を擦り、樹脂が乾いたら塗らなかった両サイドをカッターで斜めにそぎ落とし、更にペーパー仕上げを致します。注意点はシャフト部分に「切り傷」を付けないようにしましょう。 ここは、慎重に作業を行う事が大切です。 この画像は、外径13mmのカーボンストックを差し込んで継いだ物で、ゴルフクラブより簡単ですが、ストックは高価です。 |
|||
[フラットに仕上げる] せっかく綺麗に樹脂を塗ったのですが、よりフラットで流線型にする為に再度ペーパーをかけて処理いたします。 その後、改めて樹脂を塗ります。 最終工程は仕上げの黒塗り樹脂塗装です。 この工程が面倒なら、削らない状態で終了にしても構いませんが、そぎ落とした部分が剥がれますので、次の工程のように樹脂だけ塗って終了しても良いでしょう。 (左画像の説明、上の画像はゴルフシャフト、下の画像はストックです) <ワンポイントアドバイス> ペーパーは硬い木切れなど、四角く平らな物に巻きつけて使うと、平らで綺麗に削る事が出来ます、但し、継ぎ手上部は素材まで削ってはいけません、せっかくの補強が役立ちません。 |
|||
[仕上げの樹脂塗り] カーボン素材、もしくはアラミド素材をビニルエステル樹脂または、ポリエステル樹脂、液体エポキシ樹脂などで接着します。 乾くと画像の様に透明になるので、ここで終了しても良いです。 これを更に塗装して樹脂作業は終了です。 ※樹脂や溶剤・塗装用顔料・カーボンクロスの購入先はリンクをご覧下さい。クロス材は切り売りですので長さ指定も可能で、手銛全体を巻いても良いですが重くなります。 |
|||
[外側の補強対策その2] 上記のFRP加工が面倒な場合の外部補強です。 これは、インナー材を挿入後、外部に内径16mmのSUSパイプの金物で行う工法で、これも丈夫で有効です。 但し、ゴルフクラブのグリップ部分が外径16mm以下ですと、少々段差が出来てしまいます。 従いまして、この部分に半練りタイプのエポキシ樹脂などで加工し、工夫する事で、ご覧のように流線型で段差無く綺麗に仕上がります。 出来る限り肉薄の金属パイプを使うと、フラットに仕上がります。 |
|||
[外側の補強対策その3] 上記2に似ていますが、簡単に長尺手銛を製作したい方へのご案内です。 これは、お手持ちのシャフトの外径に、もっとも近づけて製作する金具で、両端の縦穴をそれぞれ変則的な穴あけ加工をした金具です。 長尺手銛を簡単に造りたい方には、この金具の製作をご依頼下されば、お造りします。 強度を考慮し、出来る限り肉薄なテーパーにして、フラットに仕上げます。 私も4mを超える手銛に使用しております。 但し、補強用のインナー材は入れて造りましょう。 |
|||
[塗装] 仕上げの樹脂塗装の工程です。 これは、FRP樹脂や、ビニルエステル樹脂に黒の顔料、硬化剤を混ぜて行います。 一気に塗る事が重要です。 ※下地処理は、目の荒いペーパーで必ず擦りましょう。 注意する事は天候の良い日を選びましょう。 この工程は手銛を美しく見せる為にも1度目の塗装が十分乾いてから、2度目は樹脂だけ塗ると綺麗に仕上がります。 顔料の配合によっては乾きが悪いので、焦らない事です。 左、15−17/4m 右、12−16/4m、丁寧に仕上げると、ご覧のようにフラットで流線型になります。 |
|||
[最終工程のラバーグリップ] (滑り止め対策) 当店で購入可能な、滑り止めの為の収縮ラバー(チューブ)。 ガストーチや、ガスレンジなどで炙ってフィットさせれば完成です。 圧縮ラバーは、ご自身の好きな位置取りで取り付けましょう。 加熱を初めて行う人は、外部を焦がさない為に、濡れタオルやマスキングテープで保護しましょう。 ※ラバーは、長さ800mmと500mmが市販されております。 当店では、800mmを販売しております。 ■ラバー利用の注意点■ アルミやステンレスに巻く場合、下処理として錆止めを施しましょう。錆止めの塗装もしくは、絶縁テープを巻いて、下処理しましょう。これを知らずして、1年も経てば、ラバーの中は錆の腐蝕で悲しい結果となります。 また、ラバーは接着剤は使えませんので、徐々にズレてきます。 その際は、ズレて邪魔になる部分をカッターの刃を上向きにして差込みんでカットします。短くなった部分に新たなラバーを継ぎ足せば安価なメンテナンストとなります。 |
|||
[最終工程U] 滑り止めラバー以外の方法として、この画像の様に細糸を丁寧に巻いた物も効果的です。(樹脂はまだ塗っておりません) この糸の上からFRP樹脂を塗り、軽くペーパーで擦ります。 仕上げに更に樹脂を軽めに塗ると、ざらつき感が出て滑り止め効果を得る事が出来ます。 この方法は面倒ですが、パイプへの保護効果もラバー以上です。 その他の小物仕掛は、「仕掛造り」のページでご覧下さい。 |
|||
[完成画像] ★ シンプル イズ ベスト!です ★ 外径16,5mm/内径13mm/全長約4mの2本継ぎ手銛の完成です。 <手銛の詳細> @材質・ゴルフシャフト&グラスパイプ 前後テーパー2本継ぎ手銛・全長4030mm A総重量・700g B先端重量・350g(+)・長さ2000mm C後端重量・350g(-)・長さ2030mm D手銛外径・8,5mm〜ストレート部、グラス16,5mm (前後テーパー) ■シャフト選び■ ここで改めて注意点を1つ、中古のゴルフクラブ選びでは、硬いドライバーが長くて適しております。グリップ下部外径が16mmですと、内径は、ほぼ13mmで、このサイズがベストです! または、ストックの外径13mmならパイプに差し込めますので非常に簡単です。 通常のストックでも、グリップ部外径16mmなら、内径は13mmが標準的です。外径16mmのストックの場合、浮力が有りすぎるので、中にインナー材などを入れましょう。 <重要点> ゴルフクラブの外径は平均15〜15,5mmで、グリップ下部内径は13mm前後で、アイアンだと多少細くなりますので要注意。 内径が13mmより細いと、インナー材料が納まらず、不具合です、お店には、ノギスを用意しておもむき、太くて長いものを選びましょう。 細いアイアンを使う場合は、3本継ぎ手銛に利用するか、上記「インナーの接着」の項目を参考にして製作して下さい。 |
|||
[FRP樹脂によるラメ化粧] 手銛には人の個性も必要で、私はラメを用いて個性を出した物も製作しております。 補強を兼ねて、パール粉をFRP樹脂に混ぜて使うので、多少塗り難いですが、丈夫で見た目も綺麗です。 画像の物は、同じパール素材ですが、下地の色によって様々な色にかわります。 [手軽に出来るスプレーラメ化粧] 近年では、パール粉の入ったスプレー缶も販売されていて、簡単かつ綺麗に化粧できます。 ただし、スプレータイプは傷に弱く剥がれ易い為、マメに補修すると良いでしょう。 ◎魚によっては、これに興味を抱くかもしれません。 そこのところも、期待しております。 実際、ヒレカンなどは興味を持つ感じが致します。(笑) |
|||
[金具と手銛シャフトを接着するエポキシ接着剤]
|
|||
[樹脂その1] まず、接着剤と接着樹脂とは用途が異なる事を覚えて下さい。 素材・用途別に数多くの樹脂が市販されています。 その中から、私が好んで使う樹脂をご紹介します。 @通常のポリ樹脂の2倍の強度。 A乾きも早く、硬化後24時間程度でべたつきも無くなります。 ■繊維や糸への接着は、FRP系の樹脂をご利用下さいませ。 ただし、樹脂によっては硬化速度が大きく異なり、物によってはべたつきを押さえる為に、パラフィンを混ぜる必用も有ります。 販売店で詳しく聞いた上で、購入し出下さい。 また、一般的に販売されている樹脂の多くが、最低分量500mm缶ですが、近年は1k缶が主流です。 1k缶は、友人と使う事をお勧めします。 |
|||
[樹脂その2] この樹脂は、予めパラフィン(インパラ)が混入されている硬質不飽和ポリエステル樹脂です。 硬化後の表面が、サラサラ・カラカラカラになります。 ただし、1度目の硬化後に再積層(2度塗り)する場合は、サンドペーパーで必ず研磨しましょう。 これは、一般的に、FRP成形・補修をするための、ポピュラーなポリエステル樹脂で、パラフィン入りなので硬化後のべたつきが有りません。 <注意>インパラの特徴は半日程度で乾き、半透明のカチカチに仕上がりますが、パラフィン(ワックス)の特徴で、粘着にとぼしいです。 使用する場合は、カーボンシャフトをヤスリなどで、必ず擦りましょう。 私が思うに、通常のポリエステル樹脂を使用しても、何ら問題も有りません。 ※完全硬化には、24時間おきましょう。 使用は、最低2日後です! |
|||
■FRP樹脂に対する説明■ | <FRP樹脂> ■一般の方だ使うには、ポリエステ樹脂を選ぶのが無難です。 通常のFRP(エポキシ)系樹脂には硬化剤が必用で、2液性です。 そもそも、様々な樹脂に適応する硬化剤が有りますので、その樹脂に適合するセットで購入して下さい。 おおむね、硬化剤はパーメック系で、どんな樹脂にも効果は有ります。 樹脂と接着剤の違いは、Q&Aでもご説明しています。 量販店や釣具店での購入時は、お店の方にご相談願います。 樹脂作業を行う前に、必ず硬化速度等を試しましょう。 これは初めて樹脂を扱う方に対し、必至な作業と心得て頂きたいです。 ■樹脂の販売店は、リンクページでもご紹介して有ります。 |
||
私が造る手銛は、手銛というものを熟知した結果の形であり、必用最小限の物しか着けておりません。 性能の高い手銛を造るには、はいかにシンプルに仕上げる事ができるかで決まります。 一般的な手銛シャフトには、魚を撃った際、適度なシナリが必用です。 身切れを押さえ、シャフトへの負荷も軽減されます。 硬からず軟らかからずの手銛が扱い易いのです。 30kを超える獲物相手なら、それなりの強靭な手銛シャフトが要求されますが、それとて折れないとは限りません。知恵と技術でカバーする事こそ、突き師としての腕の見せ所です。 |
■■ お願い ■■
※手銛関係のご質問は、ショップの伝言板でお願い致します。(電話やメールには対応できません) 私が試行錯誤し設計した手銛用パイプは、凧のサイト、ウインドラブさんのご協力により、手銛のコーナーとして、別途枠でページを設けて頂き、安価に委託販売しております。 このパイプを使用する事で、自作手銛の性能が飛躍致します。 |