手銛塾

手銛の仕掛け造り

私の仕掛けは諸先輩方の教えを参考に、1980年代から独自に改良を加え、扱い易くしてきた物です。
お近くの釣具店、量販店などを物色し転用できる物や便利な物を探して、仕掛をお作り下さい。

尚、仕掛けのメンテナンス等出来ない方は、チョッキ銛をお勧めいたしませんので、精進下さいませ。


<手銛の仕掛全体像>

[手銛先端の仕掛けの説明]

※仕掛イメージは、上記の大きな画像を参考にして下さい。
手銛が完成したら、細かな部分を造ります。
この画像のラインは史上最強と言われる繊維、ザイロンノット50号。 この部分のラインをテンションラインと名付けて呼んでおります。
手で引いている部分は髪結いゴム、これをテンションゴムと呼んでおります。

上記画像のように、先端金具にラインを通し、ループ状に留めたら、チョッキ用フックにも同様にループにして固定します。
チョッキフック部分のループは締め付けておきましょう。

仕掛はテンションゴムを引いて、テンションフックへ掛ければOK。
テンションラインの長さは、先端金具の横穴から、チョッキフックまで、25cm〜30cm位が良いでしょう。

テンションラインの長さは狙う魚の体幅に相当します。チョッキラインと合わせた長さは片手幅程度に収めないと手返しに影響してきます。
[チョッキライン] (ザイロンノット50号)

銛頭へ取り付けるラインをチョッキラインと名付けて呼んでおります。

チョッキラインの端にループを作り、さらに玉結びをしてチョッキフックにフックさせるだけでOKです。
簡単に外せるが、自然に外れないように金具の幅を調整しましょう。
チョッキラインの長さは使うシャフトより、数cmは長めに作りましょう。
ラインのループは万が一、超大型魚に手銛が折られてもボンデンのラインに付けたエラ通しを引っ掛けておく事で、獲物を確実に獲れる事を期待してスケベ心で工夫した仕掛けです。(笑)
[チョッキライン用フック] 

この金具はチョッキフックと名付けて呼んでおります。
古くからは、ひょうたん・だるま、などと呼ばれてきました。
誰でも簡単に造れる形のフックを考えてみましたので紹介します。これは、チョッキラインを留める為の金具です。
釣具屋で売られている硬質ステンレス1,6mm棒で十分です。
フックの大きさは4cm前後です、5cm以内で造りましょう。
私は、TIG308/2mmステンレスを使っています。

先端をペンチなどで潰し、チョッキのラインの太さに合わせましょう。なお、ご覧の物は簡単に造った物です。これは縦方向に強く、横方向の引張りには軟弱ですので機能を十分理解してご使用下さい。
ショップで販売している物は丈夫で機能的な作品です。


[テンションフック]

これはテンションゴムを止める為の金具です。
私はこの部分をゴムをとめるフック、「テンションフック」と、名付けて説明しております。
髪留めゴムを輪状にして引っ掛けるだけなので、交換も楽です。
釣具屋に売っている1,5mm前後の硬質ステンレスを使用しましょう。

下の画像は、山田氏のテンションフックです。
テンションフック(針金)部分を輪状にして出来る限り小さく固定して造ります。
このテンションフックの輪っかの向きは、私のテンションフックとは逆に、前方を向きます。この部分に、髪留めゴムをくくりつける訳です。かなりスッキリして格好よいです。

取り付け位置は先端金具の横穴から40〜45cm程です。
この位置は使うテンションゴムの伸びに応じて、決めましょう。

■ワンポイントアドバイス■
FRPやエステル樹脂でコーティングします。
樹脂を何度か重ね塗りして、直接染み込ませましょう。
FRP系の樹脂が無い場合は瞬間接着剤でガッチリ固めましょう。
■注意
この部分では、半練のエポキシ樹脂は使用しないで下さい。
[テンションゴム]

テンションゴムは女性の髪結いゴムが安価で比較的丈夫す。
昔は釣り用のクッションゴムを使っていましたが、今一です。
私はリサイクルを兼ねて小型車のチューブも使います。
輪状に切っておりますが、切る角度で幅、長さも調整できます。
また、タイヤチューブは劣化にも非常に強いです。

尚、テンションゴムが伸びきった位置は先端金具の横穴、テンションラインの付け根まで到達しなくてはなりません。
到達しないと、フックが破損したり、ゴムが切れてしまいます。
伸びと強度の有るゴムを探してください。
[テンションラインとテンションスナップ]

テンションゴムとラインを繋ぐスナップは、ハワイヤンフック4号程度(画像真ん中)です、さほど強度を要しないので、できるだけ小さな物がベストです。
サルカンを使っても良いでしょう。

安価な物として、釣具の
「道糸沈め」と言う小さなスナップが非常に便利で、私も愛用しており、当店でも販売しております。
名称は、フックドオンリー・スナップオンリーです。

※テンションゴムは、弱すぎると銛頭が自然に外れてしまう。
逆に、強すぎると外れにくいので、強弱の塩梅を上手く調節しましょう。

[手当てと金具] (梅田式ハンドストラップ)

自慢のハンドストラップ、実用新案として考案した物です。
これを手当てと名付けて呼んでおります。
手当て布に使うものは、ベルトやショルダーに使うPP布地を利用しております。
金具はSUSフラットバーを削りだしますが、皆様が自作するには、スプーンの柄を利用すると簡単です。

手当ての完成品や、手当て金具、PPベルトは、当店webショップで購入できます。

※詳しくは「手当てとライン」のページをご覧下さい。
[自慢の手当てを用いたレストタブ方式]

水中銃の仕掛にそっくりだという事で、友人に名付けて頂いた私の手銛用レストタブ、引っ掛けです。

これはゴムをブラブラさせない為と、イザと言う時、いち早く素早く魚を突く為に欠かせない仕掛けです。
特に長尺手銛には無くてはならないと考えております。

※暴発は大変危険です、丈夫に仕上げ、取り扱いは十分注意しましょう。
[タブへの糸巻き作業](使用ライン、磯ハンター120号)

布製ラインのタブラインは、たまに造りなおす必要が有りますので、永く使うに、特に丈夫なラインを選び、磯ハンター120号です。
画像の様に細糸をガッチリ巻いた後、FRP樹脂など固くなる接着剤を用いて仕上げましょう。
紐がすっぽ抜けしないようにラインの端を炙るなどしてコブ状にする事をお勧めいたします。
出来る限り、フラットに仕上げましょう。

タブ補強は、液体系樹脂が無い場合、瞬間接着剤を重ね塗りしても造れます。
<アドバイス>
ライン式でも金具式でも、タブへの巻き糸補強には、半練タイプのエポキシ接着剤は強度が劣りますので、NGです。
ラインに浸透するFRPやアクリル系の液体系を使用しましょう。

また、巻き糸は、釣具店で8号程度の布製の強いラインを購入しましょう。

注意
樹脂を塗る部分はカーボンシャフトに対し、サンドペーパーやヤスリなどで必ず研磨しましょう。
その後、糸などを巻いて作業を行いましょう。

[レストタブの仕掛位置]

手銛の長さなどで付ける位置は変わってきます。
大まか、ゴムを70%〜80%引いた位置に付けるのがベストです。

◎滑り止めラバーを使う場合は、タブを取り付ける部分を除いて間を開け、先にラバーを圧縮させます。
その後、タブを取り付けるのが順序となります。
タブへの糸巻きは、1cm以上巻き付けると安心です。

画像の完成手当ては、手の大きな人に頼まれ、特大で作った物なので、ご自身の手にフィットするサイズで自作しましょう。
[フック常態]

金具先端を手当布より出す事で、フックさせる事が容易になります。
この位置を替えると扱いにくくなるので十分注意して造りましょう。
ゴムを手銛に半周ないし一周巻いて、レストタブにフックさせると、手銛シャフトが曲がらず真っ直ぐ飛びます。
これを引きゴムの「巻き引き」と言います。

引きゴムを巻く事を忘れず、「巻き癖」を身に付けましょう。
強力なゴムの場合、巻き引きしないと、ゴルフクラブなどを使用した手銛は折れる事も有ります。
[梅田式レストタブ、タブ金具への糸巻き作業]

実用新案の為にハンドストラップの相棒金具として、製作したタブ金具です。
これは、手当て金具をフックさせる重要な箇所です。
瞬間接着剤でひとまず固定し、糸をきつく丁寧に巻きつけましょう。金具式タブは、手銛のどの位置に付けたとしても、同様の糸巻き工程を行うと、頑丈に仕上がります。
この時に使う細糸は伸びの少ない物を使いましょう。

注意1
金具式の巻き糸への補強は、FRP樹脂、ビニルエステル樹脂、あるいは、粘度の低い液体系エポキシ樹脂など、強力に固まる樹脂で接着して下さい。
何度か重ね塗りして、巻き糸に直接染み込ませましょう。

注意2
樹脂を塗る部分は、タブ金具の上部とカーボンシャフトに対し、サンドペーパーやヤスリなどで必ず研磨しましょう。
その後、糸などを巻いて作業を行いましょう。


[金具式タブの仕上がり、その@] (梅田方式)
自分の考案した手当て金具をフックさせる為に作った物で、脱着するのに、非常に扱い易く我ながらお気に入りです。
最近はライン式と共に、これを使っており、スッポ抜け対策の加工もしてあり、安心です。

※、強度の有る樹脂にも、耐用年数が有ります。
万が一、樹脂に亀裂が入ったり、タブがぐら付く場合は、応急処置として亀裂や隙間から、瞬間接着剤を浸透させましょう。
強度がよみがえります!
なお、様々な点は、自作する皆様が工夫しながら取りつけ、お造り下さいませ。
[金具式タブの仕上がり、そのA] (山田方式)

師匠、山田氏のタブの実物で、バネ丸材の針金を使用しております。
しかも、手当て金具は画像の物と同様の材料にて、バネ丸材で自作していて、私とは大きく異なり、師匠ならではの異なる方式です

■細糸を巻いた後に使用している樹脂は、私が差し上げた「ボルトメイト」と言う工業用の2液性エポキシ樹脂です。非常に硬くなる物で、これは気に入って頂ました。
[フック常態] (金具方式)

タブの金具の傾斜角は出来るだけ小さくしましょう。
画像の物は樹脂を塗って仕上げた物です。
この様な金具のタブは非常に丈夫ですが、ラインを利用した物とは違い、使い慣れるまでは違和感を感じるかも知れません。
また、引きゴムを巻き引きする事で、発射時に引っ掛かる心配は有りません。

※暴発は大変危険です、丈夫に仕上げ、取り扱いは十分注意しましょう。
<オールカーボン手銛/全長3,6m>

私は諸先輩方の知恵と自ら実戦でつちかった経験を元に数多くの丈夫な手銛を製作しましたが、どれも違った顔をしていて1本1本がとても可愛いものです。

世に伝わる手銛の最高傑作は篠原手銛です。
また、友人のシマダイさんが造る手銛は自作手銛の最高峰であると考えております。チームのHP
友人と手銛で、詳しくご紹介して有ります。

皆さんも自作した手銛は、修理しながら大切に、また、長く付き合う為にもより良いものを製作してください。
良い手銛は生涯の友となるはずです。


                       ぼんでん
ボンデンの仕掛 特製エラ通し
仕上がり 魚返し

大物師に欠かせない必勝アイテムがボンデン(フロート)とエラ通しで、手銛の仕掛同様に必用不可欠です。
これはヨガブロックと呼ばれるウレタンと芝刈り機用のラインを使い、紹介の為に極々簡単に仕上げた物です。
ラインの長さは、20m有れば、大抵の磯では通用します。芝刈り機用のライン以外では、釣りで使うナイロン製の150号〜200号が丈夫で適当です。

■潜り仲間のタコさんからもらったヨガブロックで、彼が探し得たオリジナル材料といえます。

このウレタンで製作する時の注意点は、軟らかく加工し易いぶん、いくぶん軟弱なので、フックを止める時に通す穴が拡大しないように、ワッシャなどを使用し、引っ張って泳いでもフックの食い込みや、フックがすっぽ抜けしない為の対策をこうじて造りましょう。
私は穴が小さく外径が大きいワッシャを真鋳で造り、ウレタン側に瞬間接着剤を染み込ませました。これで穴の周りが硬くなります。
丁度良いワッシャが無い場合は、5円玉を使うと良いでしょう!最適ですし、縁起も担げます。(笑)
2年以上使っても壊れませんので上等です。

大きさは22,5cm×15cm×7,5cmです。 
ボンデンの用途は様々で沢山突いた魚を通す、突いてバレそうになった大物とのやり取り、鮫対策、漁船への目印などに効果的です。

■今回使用したウレタンは、ヨガブロックYK380の表示で、価格は¥800程です。
販売店は、リンクページでご紹介して有りますので、目立つ色のブロックを購入しましょう。
私は、目立たせる為に反射板テープを貼りました。
この他に丈夫な物を数多く造りましたが、ほとんどを友人知人に差し上げちゃいました。(笑)

<指導>

◎超大物を視野に入れる場合は、もっと丈夫で大きな物が必用なので、応用して造りましょう。

◎ボンデンを付けていても、ラインが長ければ長いだけ、当人との距離ができ、漁船から人間が確認できなくなります。
小型船舶の往来を考え、沖合いでの魚突きは止めるようにお願い致します。

◎ペットボトルで製作する事は推奨できません。漁船から見たら、単なるゴミにしか見えないからです。
沿岸を航行する漁船から見ても、ちゃんとブイに見えるように目立つ方法で製作しましょう。









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